結婚式の日に着るスーツは、どこまで特別であるべきなのか。
今回、名古屋・納屋橋のapartirで仕立てたのは、そんな問いから生まれた一着です。
舞台は、金屏風と障子、畳が広がる和モダンな結婚式場。

新郎が選んだのは、イタリアの名門服地メーカー、Vitale Barberis Canonico(カノニコ)のCOVERT CLOTHを使ったオーダースーツでした。
低めのゴージラインを持つセミノッチラペル。
舟形の胸ポケット。
スラントポケット。

そして、グルカトラウザーズをベースにした深い股上のツーインタック・ストレートトラウザーズ。

シャツにはクレリック仕様のラウンドカラーとタブ。
最後にヴィンテージのネクタイを合わせる。
一見するとクラシックな英国的テーラリング。
けれど、その着こなしには現代的な自由さがあります。
そして隣に立つ新婦の、ヴィンテージドレスを思わせる繊細なレースのドレス。
ふたりの服が並んだとき、和の空間の中に、不思議なほど自然な調和が生まれていました。
名古屋の結婚式だからこそ選びたかった、クラシックなオーダースーツ
結婚式の新郎衣装というと、タキシードやブラックスーツを思い浮かべる方も多いと思います。
もちろん、それらも美しい選択です。
ただ、今回のように和モダンな結婚式場であれば、少し視点を変えてみるのも面白い。
フォーマルウェアとしての品格は残しながら、結婚式が終わったあとにも着られる。
そんな「ウェディングのためのオーダースーツ」を考えました。
apartirでは、オーダースーツを単純にサイズを合わせるだけのものとは考えていません。
生地、ラペル、ポケット、パンツのシルエット、シャツ、ネクタイ。
その人がどんな場所で、誰と、どんな時間を過ごすのか。
そこまで考えて一着をつくります。
今回も、まず考えたのは「結婚式のための服」ではなく、
この人がこの場所で一番自然に見える服。
そこからデザインを組み立てていきました。
CANONICO COVERT CLOTH
しなやかで、しっかりしている。結婚式のあとまで着られる生地。

今回選んだのは、イタリア・ビエラの老舗服地メーカー、VitaleBarberis CanonicoのCOVERT CLOTH。
Covertは、カントリーウェアやスポーティーなテーラリングにも用いられてきた、しっかりとした綾織りの服地です。
一般的なフォーマルスーツ生地とは違い、適度なウェイトとコシがあり、仕立て上がったときにジャケットの輪郭がきれいに出る。
一方で、今回の生地は硬すぎず、しなやかなタッチも持っています。
この、
「しっかりしているのに、身体についてくる」
という感覚が、このスーツにはとてもよく合いました。
結婚式ではきちんと見える。
けれど、式が終わればシャツやニットと合わせて普段のジャケットとして着られる。
それも今回のオーダーで大切にしたことのひとつです。
低いゴージのセミノッチラペル
古さではなく、クラシックという選択。

ジャケットは、低めのゴージラインを持つセミノッチラペル。
現代的なスーツと比べると、少し落ち着いた位置に設定されたゴージが胸元に静かな存在感をつくります。
ラペルの幅や角度も、必要以上に主張させない。
身体に沿って自然に流れるラインをつくり、顔まわりをすっきりと見せています。
胸ポケットには舟形のバルカポケット。
腰にはスラントポケット。
水平に並べるのではなく、少し角度をつけることで、クラシックなスーツに軽快さを加えました。
フォーマルでありながら、どこかスポーティー。
その曖昧さが、このスーツの魅力です。
グルカトラウザーズから考えた、ウェディングスーツのパンツ
今回特にこだわったのがトラウザーズです。
ベースにしたのは、ミリタリーウェアやトラベルウェアとして知られるグルカトラウザーズ。

そこからディテールを整理し、オーダースーツとして成立するように再構築しました。
深めの股上。
ツーインタック。
そして裾までまっすぐ落ちるストレートシルエット。
一般的な細身のウェディングスーツとは違い、腰から腿にかけてゆとりがあります。
この余白があることで、立ったときのシルエットが美しくなる。
そして座ったときにも身体を締め付けない。
結婚式では、立つ、歩く、座る、挨拶をする。
さまざまな動作があります。
だからこそ、美しさと動きやすさを同時に考える。
これはオーダーだからこそできることです。
クレリックシャツとタブカラー
首元に少しだけヴィンテージを。

シャツにはクレリック仕様を選びました。
身頃と襟・カフスの色を変えることで、ジャケットのVゾーンに奥行きをつくります。
襟はラウンドカラー。
そこにタブを加えることで、ネクタイが自然に持ち上がり、首元に立体感が生まれます。
そして合わせたのが、ヴィンテージのネクタイ。
新品のスーツに、時間を重ねたネクタイを合わせる。
この少しの違和感が、装いを「既製のウェディングスタイル」から遠ざけてくれます。
服は、全部を新品で揃える必要はありません。
むしろ、ひとつ古いものを混ぜることで、その人自身の時間が服の中に入り込む。
そんな着方が、apartirらしいと思っています。
和モダンな結婚式場と、英国的なテーラリング
今回の写真で特に印象的なのが、スーツと背景の関係です。
金屏風。
畳。
障子。
柔らかな照明。
そこにチャコール系のクラシックなスーツ。
一見すると、まったく異なる文化の組み合わせにも見えます。
けれど、実際にはとても自然です。
日本の空間には、余白があります。
英国のテーラリングにも、過剰に装飾せず、身体と服の間に美しい余白をつくる考え方があります。
だからこそ、クラシックなスーツが和の空間にすっと馴染む。

洋服を日本の場所で着る。
そのときに大切なのは、どちらかに寄せることではなく、お互いの良さを残すことなのかもしれません。
新婦のヴィンテージライクなドレスと
そして、もうひとつ今回のスタイリングを完成させているのが新婦のドレスです。
繊細なレース。
クラシックな柄。
どこかヴィンテージドレスを思わせる空気。
現代的なウェディングドレスとは少し違う、時間を感じさせる佇まいがあります。
そこに合わせたのが、クラシックなテーラリングとヴィンテージタイ。
どちらも「今だけのもの」ではなく、過去から受け継がれてきた美しさを持っています。
だからこそ、ふたりで並んだときにまとまりが生まれる。
新郎の服と新婦の服を完全に揃えるのではなく、
それぞれが好きなものを着ながら、並んだときに美しい。
結婚式のスタイリングとして、これはとても大切なことだと思います。
結婚式のあとも着られる、Wedding Order Suit
結婚式のスーツだからといって、一度しか着ない服にする必要はありません。
ジャケットは、シャツと合わせて仕事や食事へ。
トラウザーズは、ニットやカットソーと合わせて休日へ。
ヴィンテージのネクタイは、次の特別な日に。
そうやって少しずつ生活の中へ戻っていく。
結婚式の日に撮った写真を見るたび、そのとき着ていた服のことを思い出す。
そして数年後、その服をまた着る。
それは、オーダースーツだからこそできる楽しみだと思っています。
人生の節目に仕立てた服が、その先の人生にも残っていく。
apartirが考えるWedding Order Suitは、そんな一着です。
名古屋・納屋橋で結婚式のオーダースーツを仕立てる
apartirは、名古屋・納屋橋にあるオーダー&セレクトショップです。

名古屋駅から徒歩約13分、伏見駅・国際センター駅から徒歩約5分。堀川沿いのPIVOT納屋橋4階に店舗を構えています。
オーダースーツだけでなく、オーダーシャツ、オーダージャケット、オーダータキシードなど、結婚式のスタイルに合わせた仕立てもご相談いただけます。
生地を選ぶ。
デザインを考える。
採寸する。
仕上がった服に袖を通す。
その時間そのものも、結婚式の準備の一部だと思っています。
初めてオーダースーツをつくる方も、どうぞお気軽にご相談ください。
結婚式場の雰囲気、季節、奥様のドレス、普段の服装。
そうしたことをお聞きしながら、その人にしか似合わないウェディングスーツを一緒に考えます。
Wedding Order Suit
CANONICO COVERT CLOTH
-
低めのゴージライン
-
セミノッチラペル
-
舟形胸ポケット
-
スラントポケット
-
グルカトラウザーズベース
-
ツーインタック
-
深めの股上
-
ストレートシルエット
-
クレリックシャツ
-
ラウンドカラー
-
タブカラー
-
ヴィンテージネクタイ

apartir / Nagoya NAYABASHI
Tailored to your lifestyle.